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2012年10月11日 (木)

勇気をくれるノーベル賞

ノーベル医学生理学賞の山中伸哉京大教授の語り口が魅力的ですね。淡々として余計なことは言わない。あれだけの栄誉に浴すれば大抵の人は嬉しさのあまりつい口が滑ったりするものだが、それがない。かといって研究所ではユーモアもあって若い人たちを楽しく研究に向かわせている。「理想の上司」コンテストでもノーベル賞だろう。

 

今回も偉大な研究者はいきなり自分の得意分野に行き着いたのではないということを教えてくれた。山中さんは当初は外科医だった。手術が下手くそで、人が1時間で終わる手術が3時間も4時間もかかった。チームの医師たちから邪魔になるという意味で「ジャマ中」と呼ばれていたそうだ。そこを離れて研究者に転じて実力、真価を発揮した。

 

生体高分子の構造解析でノーベル化学賞に輝いた田中耕一さんは大手の就職試験に失敗した後で辿りついた中堅企業で芽が出た。「ビリ卒でノーベル賞」でくすぶっている研究者を大いに奮い立たせたノーベル物理学賞の小柴昌俊さんは、指導教授たちが「小柴には無理だ」と温泉の湯けむりの向こうで言ってる話を聞いて、「じゃあ、やってやるぞ」と宇宙物理の道に進み、宇宙ニュートリノの検出に成功した。

 

今、大学や研究所で悩んでいる若者には大いに勇気づけになるだろう。小柴さんの名誉のために書いておきますが、東大の理学部をビリで卒業したといっても好きな宇宙物理の実験に熱中するあまり他の講座が疎かになっただけの話です。何でも万遍なく好成績を得ている学生や研究者が優秀だという日本の学力観に冷水をぶっかけたことでも小柴さんは大きな功績を残しているんです。

 

現役時代、民放テレビ局の創立記念番組で小柴さんとその研究を全面的に支えた浜松ホトニクスの晝馬輝夫会長と3人で浜松文芸大学講堂を会場に1時間の鼎談をしたことがある。晝馬さんはニュートリノ検出に成功したカミオカンデの地底観測所の光電子増倍管を開発し寄贈した小柴さんの大恩人だが、少ない研究費に悲鳴をあげている小柴さんに増倍管を進呈する時には「持ってけ、ドロボウめ…カネなんか要らねえや!」なんていうやり取りでやっていた話に聴衆の拍手が鳴りやまなかった。

 

「自分が好きなこと」「自分が本当にやりたいこと」を見つけるには時間がかかる。当然な話だね。30何教科もある講座をすべて中途半端な成績で終わるより、Ⅰ、2の講座で身を立てられるようにした方が楽しいね。小柴さんはそんな風に言っていた。

お父さん、お母さん、やっぱり1点や2点にこだわっちゃダメなんです。就職だって焦ってビッグネームに飛びついたって楽しくなくちゃしようがない。大学もハローワークのように学生に企業を押し付けて「内定率90%」「100%」と誇ってみてもしょうがない。若者たちの一生のことを考えてやってください。

 

川柳「朝囀」 道徳の 教科書代わり ノーベル賞    ()

 

 

 

(お詫び )10日付け「政党助成金…」の冒頭は「民主党」でした。訂正します。

 

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