車いすのわが子に火…先を案じた老母
静岡市駿河区の遊歩道で車いすが燃えさかる炎の中から86歳の老女が通行人によって助け出された。傍らでは55歳の障害のある息子が大やけどを負って倒れていた。6日早朝のことだ。息子は助からなかった。
地元の警察は息子に灯油をかけて火を放ち殺した疑いで母親を逮捕した。
母親は「間違いありません」と容疑を認めている。
息子は障害があり介護保健施設に入っていたが、母親は毎日バスに乗って施設を訪れ、息子を見舞っていた。
施設からは母親が書いたとみられる遺書のようなものが見つかった。
母親は施設の職員に「私が死んだら、この子はどうなっちゃうのか。あんたら仲良くしてくれるね」と話していたという。
介護疲れも加わり先をはかなんで無理心中をはかったものとみられる。
母親を逮捕して聴取する署員も心を痛めている。
近所の人々もそこまで追い詰められていたことを知って悲しんでいる。
障害を背負った子どもの将来を案ずる親の苦悩ははかり知れない。
それでも若いうちは兄弟など力になってくれる人がいる。
でも、容赦なく歳月がたち、自分も周囲も年取っていくと不安になる。
子どもが若いうちに自立の道を探ろうと職業訓練に力を入れる。
それでもどの親も自分が先立った後の心配は大きくなるばかりだ。
そうそう人の世話になるわけにもいかない。
肩身もせまく、心苦しさもあってかえって孤立してしまうことが多い。
声掛け社会、助けあう近隣…地域社会の結びつきが強まる反面に危惧もある。
老老介護、老病介護、孤老介護…ひと口に言えないほど介護の実態は微妙なのだ。
それが悲しい結果につながらない知恵を私たちは求められている。
こんな悲しい事件が二度と起きないようみんなで考えよう。
政治には、もう少し真剣になってそこに光を当ててほしい。
行政には、ポーズだけでなく自分ならこうしてほしい…の視点に立ってほしい。
静岡市はわが国の『福祉元年』を唱えた故神田博厚生大臣の地元だ。
無理心中事件が投げかけた問題は重い。
川柳「朝囀」車いす 生きる力を 私にも (誠)
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