失われた命かえってこない…遅過ぎた特定機能病院取り消し
医者に殺される―と本欄でも書き続けた群馬大病院と東京女子医大病院について、厚生労働省は高度な医療を提供する「特定機能病院」の承認を今月いっぱいで取り消すことを決めたそうだ。当然のことだ。むしろ処分は遅過ぎた。
問題を明らかにするのも遅過ぎたのではないか。
承認を取り消したって失われた命はかえってこない。
取り消されると診療報酬上の優遇が受けられなくなり、年に数億円の減収になるほかトップ医療センターの看板を失うことになる。
だが、関係者の間には「幕引き」の印象が強く、社会は他人事(ひとごと)のように無関心で、憂慮すべき事態だ。
群馬大病院では腹腔鏡による肝臓切除手術を受けた患者が集中的に死亡しており、相次ぐ死亡を病院長らが把握していなかったばかりか、患者への説明なども十分に行われていなかった。東京女子医大病院では集中治療室で人工呼吸器をつけた小児への使用が禁止されている鎮静剤を2歳男児に大量に使用、男児は死亡した。鎮静剤の使用禁止が病院内で周知徹底されていなかった。
信じられないようなことが病院内ではびこっている。
東京女子医大病院では2002年に女児に対する心臓手術をめぐる事故で特定機能病院の承認取り消しを受け、2007年に再承認されたものの取り組みは不十分だという。2回も承認取り消しを受ける背景には病院側の取り組みがおざなりだという可能性がある。厚生労働省の承認審査も生ぬるいのではないか。
厚生労働省は特別検討チームを編成して大学病院の管理運営体制について立ち入り検査を進めるとともに承認要件を厳しく見直すことを決めたそうだ。厳しくする余地があるということはいままでの承認要件が甘かったということだろう。人の命を扱う医療の認可や承認が生ぬるいのでは私たちは命がいくつあっても足りない。「白衣ムラ」に対し腰が引けている厚労省が悪の元凶だ。
川柳「朝囀」2度あれば 3度目もある 治療ミス (誠)
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