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2015年11月12日 (木)

最高裁、人間味ある裁きを…認知症老人の列車事故賠償訴訟

 91歳の認知症の夫が徘徊中に列車にはねられ死亡、振り替え輸送などの損害賠償720万円を命じられた。あなたがもし妻だったらどうする。いや、訴訟の担当裁判官だったらどうする。認知症は今や誰にも可能性がある。上告審の最高裁は、妻と鉄道会社から意見を聞く弁論を来年2月2日に開くことを決めた。二審の控訴審の結論が幾分でも軽減されるよう期待したい。

 

要介護度4の愛知県大府市の認知症の男性(当時91歳)が独りで徘徊中、JR東海道線の駅構内で列車にはねられ死亡した。JR東海は妻(当時85歳)と横浜に住む長男に振り替え輸送などで生じた720万円の損害賠償を求めた。訴訟に持ち込まれ一審の名古屋地裁は妻にも長男にも監督義務があったとしてJR東海の請求通り720万円の支払いを命じた。

 

妻と長男は控訴、昨年4月の名古屋高裁の二審では長男に対する請求は退けたものの妻に対してはJR東海の請求の半額にあたる約360万円の支払いを命じた。半額に減額されたとはいえ普通の老女が簡単に支払える金額ではない。老女は上告した。JR東海も納得できないとして上告した。老女にしてみれば止むにやまれぬ上告だっただろう。あなたならどうする。

 

一審の地裁は論外だが、二審の高裁も老女に介護責任を果たしていないと賠償を命じた裁判長は鬼だ。男性は妻がまどろんでいるちょっとの間に家を抜け出してしまったが、裁判長は「目を離して介護義務を怠った」「徘徊防止の出入り口のセンサーのスイッチを切っていた」と指摘した。年寄りが年寄りを介護する老老介護の実態も知らず、法律を杓子定規に当てはめ判決を下した。憤りを覚える。

 

こんな血も涙もない裁判官にこの訴訟を担当させた地裁、高裁に不信感を覚える。85歳という老女に「介護の対応が十分ではない」とはむごい。それが自分の母親であってもそう責め立てるか。私も90歳を超す母を自宅介護した。部屋の高いところへいくつかのカギをつけ徘徊に出ないようにした。でも、自分の親を部屋に閉じ込めるなんて苦しい。カギをかけないでおきたいと思うんです。

 

ちょっと目を離したスキに出てしまう。老人の足とはいえ想像もつかぬほど遠くまで行ってしまう。85歳という老女では無理もないのです。監視が不十分だと裁判長は言ったが、介護は肉体も精神もズタズタにする。目を閉じた瞬間、たちまち睡魔におそわれてしまう。ちょっとまどろんだことがそんなに罪なことか。最高裁の人間味ある裁きを待とう。

 

川柳「朝囀」法律の 隅をつついて 木でくくる  () 

 

 

 

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