罠の恐怖、政界を動かす…誰にもつきまとう危険
秘書から50万円必要といわれた。都市再生機構(UR)との道路建設の補償交渉が進んだお礼だ。金の授受の際のやり取りはテープに隠し録りした。あとでもめるのは嫌だからいつもそうしている。大臣は現金入り封筒をスーツの内ポケットに入れた。秘書には15万円前後を53回渡した。すべてメモして残してある―甘利明前経済再生相に現金を渡したとされる建設会社の担当者の証言は実に克明だ。
そして「お金を払ったのに甘利氏の秘書がやるべきことをやっていないことが分かったから(週刊誌に)ばらした…」「秘書はUR側に金額を提示しないと話が進まないと言った」などとも明かした。その流れを読んでいると甘利氏も秘書も何とも無警戒過ぎたなと思うと同時に卑し過ぎると思う。甘利氏が会見で「人間としての品格を疑われる」と現金授受の疑惑を否定していたのが信じられない。
このことは過去の「政治と金」の問題がそうだったように選良といわれる政治家でも金に弱い。誘惑に弱い。もちろんそこに狙いを定めて権力を悪用しようとする影が付きまとう。人間はそんなに規範力のある生き物ではないのかもしれない。古来、「政治家は最高の道徳律」などと言われてきたのは、それだけアテにならない生き物だということの裏返しだろう。魔がさす―ということもある。
政界は誘惑に打ち勝つためにおのれを律しなければならない。建設会社の担当者の証言を読めば、罠を仕掛けられた、はめられたとも言えるところがある。あっせん利得処罰法を改正し、口利きを依頼した側をもっと厳しく処罰することも考えないといけない。政治資金規正法を隠れ蓑に不正利得を浄化してしまうような逃げ道を自ら塞がないといけない。政界全体が危機意識を新たにしたはずだ。
その危機意識が国会審議再開へと歩みを進めさせたのだろうか。石原新大臣の所信説明を聞くことから実質審議入りで決着したのは与野党双方のぎりぎりの譲歩だ。参院選を半年後に控えて空白期間はおけないという事情、現下の経済状況は一刻の足踏みもゆるされないという判断だ。何よりも甘利氏がすべてを失った落とし穴への恐怖だ。罠にかかる…誰にもその危険があると認識したからだろう。
川柳「朝囀」誘惑に 負けぬか否か 自信なし (誠)
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